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農薬・添加物について

obj_faq_q.gif お茶の栽培にも農薬は使っているのですか?散布はどんな農薬を年間何回?また、残留農薬の規制はあるのですか?

obj_faq_a.gif 他の作物と同じように、お茶の栽培にも一般に農薬を使用しています。飲んでおいしいと感じられるお茶の樹、特に品種化された茶園ほど虫や病気の標的になりやすいので、収穫期を避けて、年間4~5回程度必要最小限の防除が必要になります。
害虫の代表的なものは、ハマキムシ(葉を折り畳んで卵を産み、ふ化した幼虫が葉を食害します。)やダニ、(葉や茎枝に付いて樹液を吸います。)カイガラムシ(枝に付いて樹液を吸います)などです。病害としては、炭そ病(葉が褐変)やもち病(葉が白くふくれる)が代表的です。
農薬を散布しなければ、これらの病虫害を避けられず、緑茶の需給安定は望めません。十分な安全性を確保した上での防除は、低コスト大量生産のための栽培技術です。散布された農薬は、防除の目的を果たした後、日光による光分解や酸素や水との化学反応分解、風雨による洗い流し、作物の代謝による分解などで消失します。この点をぜひご理解いただきたいのです。
では、お茶の残留農薬基準について説明します
国内で生産される農産物は、まず国の法律である食品衛生法に基づく残留基準(農作物中の農薬残留量の許容基準)と農薬取締法に基づく農薬登録保留基準(登録の可否を農薬残留量から決定する基準)が設定され、この両者によって安全性の確保がなされています。これらは、マウス等の動物実験結果に100倍程度の安全性を持たせた摂取無作用量(人体が一生摂取し続けても安全な量)を設定し、個々の農産物に残留し人体に摂取される農薬の総量が摂取無作用量以下になるよう農薬取締法に基づきそれぞれの農薬の使用基準を設定しています。さらに、最近増加している「食べるお茶」への対応として、すべての茶の農薬防除基準を、抹茶(湯ににすべて溶かして飲用します)などの覆下栽培茶(雨が直接茶園にかかりません)に準じた、より厳しいものへと改正しました。分析方法も従来の熱湯浸出液を分析する方法から、製品の茶葉を直接分析する方法としました。それによって、使用禁止となった農薬や、収穫する葉には散布できない農薬が告知され、収穫前使用日数(収穫何日前までならば使用していいのか)の延長等の措置が取られ、経済連、農協を通じて各農家を指導しています。もちろん改正する前も人体に害のない基準でした。
また、県では年間を通して150検体の仕上茶を農薬分析の対象として無作為に抽出し、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤それぞれ、基準値以下になっているか調査しています。この検査においてこれまでに基準値をオーバーした例はありません。
では基準値とはどれくらいなのでしょうか、農薬ごとにその値は変わりますが、代表的な殺菌剤ダコニール(TPN水和剤)では1ppmです。ppmは100万分の1の濃度という意味です。わかりにくいので距離でたとえますと、東京から下りの東海道・山陽新幹線に乗って西に出かけ、新幹線停車駅でいうと、山口県の小郡駅がほぼ1000km先となります。1000kmは100万mですから、1ppmは、東京駅を出発して1mのところを表します。しかし、その基準値は安全を考えた上限ですので、実際の分析値は、これを更に下回るものなのです。