茶業会議所で発行している、月刊「茶」1994年5月号に掲載された、「フライパンを使って日本茶を」という記事からご紹介します。
①摘 む 茶の樹の新芽が4~5枚に伸びたとき、上から3枚目の葉の下で摘むのが基本です。八十八夜(5月2日)のころに摘んだものが上級のお茶になります。その後、6月末に二番茶、八月に三番茶が摘めます。
②蒸 す 製法にはいろいろな方法がありますが、最も一般的な、蒸す方法で「煎茶」を作ってみましょう。 まず、摘んだお茶の葉をせいろあるいは蒸し器で蒸します。少量ずつ数回に分けて蒸すのがこつです。 せいろにお茶の葉を薄く広げ、強火でよく沸騰している蒸釜に乗せ、ふたをして50秒ほど待ちます。蒸気があがったところで長い箸で葉をかき回してみて、青臭みがなくなり箸に葉がからみつくようになったら、せいろからとり出します。蒸した葉は、手早く平たい竹ざるに移し、うちわであおいで冷まします。できるだけ短時間のうちにお茶の葉の水分を発散させます。
③炒 る 油気や他のにおいの残っていないフライパン、または鍋を火にかけます。火は弱い遠火にして、表面温度を100℃程度に調節して下さい。 木しゃもじと片方の手を使って、茶葉を万遍なくかき混ぜて、10分間ほど乾かします。場合によっては、和紙を敷くと水分が吸収され、金属の臭いも移りにくくなります。 このとき、お茶の温度を体温と同じ位で乾かすことが大切。これが緑色を保ち煎茶特有の芳香を作り出すポイントです。熱くなるようならば時々火から下ろしては乾かして下さい。 茶葉の表面が乾いたら、手で揉み、葉の中の水分を出しては乾かすことを4、5回繰り返します。
④揉 む 揉む方法には、手のひらを使うのと、まな板の上で押さえて水分を揉み出す方法の二つがあります。 乾燥が進むにつれて力強く揉み、茶葉の重量が半分に乾いた時、最大の力と充分な時間をかけて揉み込みます。このとき茎の水分を完全に揉み出します。 ここで、お茶のうま味とこく味が濃厚になりますので、力をかけて揉んで下さい。その後は、乾くにしたがって揉む力は弱くして行きます。
⑤仕上げ乾燥 茶葉の重さが3分の1位まで乾いたところで、フライパンまたは鍋に和紙を敷き、その上でゆっくり乾燥し、ときどき火から下ろして、両手で茶葉を揉み水気を表面に揉み出して下さい。このとき、お茶の形が細長くなります。 乾燥がすすみ、茶葉が硬くなってきたところで、火を弱めて静置し、完全に乾燥するのを待ちますが、ときどき茶葉を上下反転して焦げないように注意して下さい。茶葉を指で圧しつぶしてみて、粉になるようならば乾燥を終わります。最後に数分間だけ火を少し強めると、お茶の芳香が引き立ち、渋味が和らぎます。 乾燥の終わったお茶は冷ましてから密封できる容器または茶袋に入れ冷蔵庫に保管して下さい。
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